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泥臭さに光るインテリジェンス。Meiso「盤上の駒」

7記事目。

ホノルルと東京を拠点に活動するバイリンガルMC、Meiso氏の「盤上の駒」をご紹介。

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単純なコード、うねるようなフロウ。

単調な仕事、うだるような生活。

ラジオから降って響く重々しいドラムス。

曰く、''譜面手放す者は筆に触る''、と。

 

 

Meiso氏のファーストアルバム『夜の盗賊』に収録される楽曲のうち、「自転者」などと並び比較的早い時期に作成された本作品。

言語の壁を越えてアメリカ人に通用する日本語ラップを開発したという彼のつむぐ言葉の行列は、なるほど一聴しただけで納得できる独特の調子を生み出しています。

 

''読経''にも通ずるような、うねるようなゆらぐような、それでいて芯のあるフロウ。

ゆえに本作では、それを遮るようにして何度もラジオから流れる''こんな曲''が、行き過ぎて荘厳なバスドラムもあいまってより印象深いフックとなっています。

聴き手に心地よいリズムの自然なライミングも秀逸です。

 

それでいて、ウィットに富んだレトリックを駆使した知的なリリック。

初期作品である「盤上の駒」においては、まだまだ泥臭さのあるインテリジェンスが光ります。

 

夜の盗賊

夜の盗賊

 

 

セカンドアルバム『イテツクアカツキ』では、作品から感じられる雰囲気が、陽の当たる都会的に洗練されてきます。

『夜の盗賊』に垣間見えるような、己の孤独や懐疑を正面切って芸術に昇華してきた歴史は、たしかにそこに地続きになっているように思います。

 

参考URL

Meiso | Mary Joy Recordings

MEISO『夜の盗賊』 | すばらしくてNICE CHOICE

 

では、また。