雲上の海でむかえる夜明け。Bop Alloy「Cloud 9 [Interlude]」
22本目の記事。
雲をふちどる朝焼けの色を眺めるような、Bop Alloyによる「Cloud 9」をご紹介。
収録される『SUBSTANTIAL and MARCUS D are BOP ALLOY』は下記動画で公式にフルアルバムで公開されています。今回ご紹介する「Cloud 9」は11:25あたりから。
雲海をすべるようにして
朝日のうすくてりひろがっていく
横目にそのいろをながめながら
青空をたなびく舵をきり
SubstantialとMarcusD、MCとトラックメイカーのふたりによって結成されたユニット''Bop Alloy''。
「Cloud 9」は、その1stアルバム『SUBSTANTIAL and MARCUS D are BOP ALLOY』の4トラック目に、インタールードトラック(※ヒップホップ系のアルバムによく組み込まれる間奏曲。間奏、というよりも、新たな展開への序章、という位置付けとして配置されることが多い感じがあります。)として収録されます。
彩雲のあやめを吹くチルな風の気品をもちながら、朝焼けを眺めるような高揚を感じさせてくれるトラックです。
タイトルの''Cloud 9''はアメリカのスラングで、うきうきとして、このうえなく幸福な状態を表現します。9番目の雲の上に乗る、''on cloud nine''の形で使用されるようです。Wiktionaryによると、語源は以下のように解説されています。
cloud nine - Wiktionary(※翻訳はブログ筆者による。)
一般的な語源としては、雲の10種類を定義した''国際雲図版(International Cloud Atlas)''の1896年版が参照される。その図版は9番目の雲を積乱雲と定義したが、その高さは10kmにまでのぼり、すべての雲のなかで最も高いところにあれた。この起源を確証する根拠はなにひとつとしてないけれども。
''アメリカスラング辞典:Wentworth & Flexner編著(Dictionary of American Slang (Wentworth & Flexner))''の1960年版には''cloud seven''の語があり、''cloud nine''に数年先立つように思われる。その他の語源としては仏教徒やキリスト教徒の伝承、ダンテ作の''神曲''までもが参照される。しかし、繰り返すが、これらの説を優遇する根拠はまったくない。
上述の''cloud seven''がそもそも最高の気分をあらわす言葉であったのを、さらにそのうえをいく表現としてうまれたのが''cloud nine''と考えられているようです。また、出典は不明ですが、下記サイトにより詳しく説明がなされていますのでご参照ください。
語源を知ると、朝の雲間を操舵するパイロットのような清廉な気分にもなってきます。
Substantial and Marcus D are Bop Alloy
- アーティスト: Substantial and Marcus D (Bop Alloy)
- 出版社/メーカー: elevation
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る
なお、どうやらCDはすでに廃盤のようで、手に入りにくい状況のようです。
デジパックパッケージのデザインが凝ってておもしろいので、中古ショップ等で見かけた際にはぜひお手にとられてみてください。四枚羽根で閉じてあるのです。
Another Day in the Life ft. Mr. SOS & Cise Star of CYNE | Bop Alloy
楽曲単体での購入は下記リンクより。
いささか雑学的な記事になってしまいましたが、いかがでしょう。
cloud nine ...
数字をふくんだ語感はもとより、語源を辿ってみても、なんともロマンのあるスラングだと思いませんか?
では、また。