日本語ラップ黎明期の黒船。BUDDHA BRAND「人間発電所 (CLASSIC MIX)」
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日本語ラップ黎明期の黒船、BUDDHA BRANDの「人間発電所 (CLASSIC MIX)」をご紹介。
日本語とも英語ともつかない無二のリリックとトラックでシーンを席巻した彼らは、もはやその筋では伝説的存在。
ゆえに調べれば調べるほど、意気込みだけで安易に語ることは恐れ多い感じがしてきます。
せめて語ることのできるのは、音楽としての良さ、それだけだなあと思うところです。
ILLMATICなFLOWにLYRIC、
AOUTで捻り潰すILLMAKERな革命家!
モノホンILLERはこんなにもDIGGER。
お前ら、どれだけDIGってる?
タイトル「人間発電所」の初出は、1996年。 ※有補足
CLASSIC MIXは1999年のリリースとなります。
ヒップホップに興味を持てば誰もが一度は耳にするだろう、BUDDHA BRAND作品のなかでも頭ひとつ抜けて有名な作品。それをドロップした、あるひ突然に海外から現れた日本人4人組。レコードは瞬く間に完売。青か緑かで評価される時代。*1
このILLで熱い展開を抜きにして日本のヒップホップ事情を語ることはできません。
クセになるトラックに乗っかる流れるような3MCのフロウは、妙技の至。
それぞれまったく異なるフロウが大波のように次々と押し寄せます。
リリックは意味なんてどうでもいいと言わんばかり。
ただ気持ちよさだけを追求しているような、ある種の求道者たる風格。
不思議な懐かしさを発信する、ザラついたシンセのサンプルが中毒性。
何度だって思い出して、そこにもういちど身を浸したくなること絶対。
DEV LARGE氏の巧みなサンプルは、いっそ洒脱でドープです。
以下、参考ページ。
どれもじっくり読ませていただきました。先人たちには本当に感謝です。
→ヒップホップの歴史・スラング等もまとめてあり、いままで非常にお世話になってきたサイトなので特筆。BUDDHA BRANDと並べて小林大吾氏も紹介しているのが本当に尊敬。内容もすごく充実しています。思い返せばSound Providersを知ったのもこのサイトだったなあ。また特集します。
サイプレス上野 日本語ラップ解説 BUDDHA BRAND『人間発電所』
CQ NIPPS 本根誠『人間発電所』ジャケット撮影の思い出を語る
ライムスター宇多丸 D.L(DEV LARGE)追悼イベントを語る
※補足
1996年のレコードのトラックリストは以下のとおり。
(誤字をふくむ表記は、緑ステッカーのレコード盤面ママです。)
SIDE MELLOW (こっち側)
①INTRO吉GUY
②人間発電所
③人間発電所(オマエも この気持ち良さにやられちまいなMIX)
SIDE FUTUER FUNK(あっち側)
①THEME OF ILLMATIC BUDDHA MC'S
②魔物道(KRUSH GROOVE PT.2)
③おひねりトラック(喜こんどけMIX)
④魔物道(FUTURE FUNKAMENTAL)
⑤魔物道(ことだま!)
病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)
- アーティスト: BUDDHA BRAND,オーサカ=モノレール,LUNCH TIME SPEAX,FUSION CORE,アンタッチャブル・デストロイヤーズ・オーケストラ,NIPPS,RED EYE DARUMA,BUDDHA FACE KILLER,H.KON,T.HIRAGURI,DEV LARGE
- 出版社/メーカー: カッティング・エッジ
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このように、先人たちがたくさんの記事を書いておられますので、BUDDHA BRANDについて詳しく知りたいと思われる場合、上記の記事を見られるとよいのではないかと僭越ながら思うところです。
こういういわゆる''クラシック''的な作品について語るのは覚悟がいるな、と思います。
それでもなんとかこうやって、自分の言葉で書いていくしかないのですが・・・
本記事で、すこしでもBUDDHA BRANDについて、ひいてはヒップホップに魅力を見出される方のあらんことを願いまして。
では、また。
*1:「青か緑か」については、紹介参考記事:サイプレス上野 日本語ラップ解説 BUDDHA BRAND『人間発電所』をご覧ください。