海をただよう、さびる音の心地よさ。rei harakami「lust」
18本目の記事。
えもいわれぬ浮遊感をもつ、rei harakami氏の「lust」をご紹介。
下記サウンドクラウドはアルバム『lust』の公式ダイジェストミックス。表題にもなる楽曲「lust」は、3:37前後から。
冷ややかに染み入る、金属音。
それは響き朱く錆びる。やがて音の海におちる。
浮遊してなお、かがやきをうしなわず。
あきもなくただよい・・・
rei harakami氏の4thアルバム『lust』に収録されている本作品。
水の中で鳴らしているような、こもった音作り。独特の音世界は、浮遊するような心地よい空間をつくりだしています。
その世界観はアルバムに一貫していて、その''音''を聴くにいつまでも飽きることがありません。本作品においても、様々な音が生み出されては互いに反響しあうようです。
叙情的に鈍く刺さる、冷たく研磨された金属音。
それは冒頭で、いちばん曲がりのない輝きを見せます。
しかし電子音の波に飲まれても、その光は決して失われることなく。
楽曲のおわりまで、音の海の浮遊感のなか、一徹したきらめきを反しています。
『lust』は2005年に発表されたアルバムです。
つめたくもあたたかく、日常に寄り添うような独特な世界観は、いまもこれからも、決して色あせることはありません。''外し''のように「owari no kisetsu」が唯一のボーカル曲として収録されていることも、その魅力を何倍も引き立てています。
細野晴臣氏の作品をカバーしたこの楽曲。
この存在そのものがつくりだす風通しのよさは必聴です。
下記リンクは、2005.05.03のインタビュー記事。『lust』発表時のもの。
楽曲製作に対する姿勢だけでなく、ハラカミ氏の人としての一貫した強さを感じさせます。
レイ・ハラカミさんに伺う [テクノポップ] All About
無粋なことを言うと、夜中や落ち着きたい時間、目を閉じて何かにひたりたい時間にぴったりなアルバムと思います。
さあようこそ、深淵なるエレクトロニカの世界へ・・・
では、また。